第十回カナダ・アニメーションフェスティバル/風

だいぶ前になってしまったが、カナダ・アニメーションフェスティバルについて、細々と。以下、予告編も挙げておく。

当日はNFB(カナダの映画の製作機関)でマーケティングマネージャーをしていたエレーヌ・タンゲ氏、アニメーション作家の米正万也氏、CAF事務局の伊藤裕美氏によるトークショーがあった。
NFBはNational Film Boardという国立の機関であるから、制作費はたんまりあると思っていたのだが、そうではないらしい(まあ、当然といえば当然なのだが、昔の作品においては金も時間も度外視したかのように作りこまれた作品があるのも事実)。最近は個人のアニメーション制作に技術提供するといったサポート面での活躍も多いそう。また、若手が活躍するチャンスを多く設けたり、次世代の育成にもかなり積極的なように思えた。
日本も若手が台頭できるように……と動き始めている印象はあるのだけれど、短篇アニメーションは映画館で上映するチャンスが少ないし知名度もないで、やはり課題は山積という感じなのだろうか。

そんなわけで、上映された作品は全て観たきたが、ベテランの代表作と若手の作品とがいい具合に混じった好プログラムです。まあ、当たり前なのかもしれないけれど、観て感動するのはやはり巨匠の作品になってしまいますね。ウン十年という歴史のなかから厳選された作品たちだから仕方ないのですが。

初見で印象深かったのは、ロン・チュニスの「風」(1972)。

再び観返すに、ちょっと目がチカチカしてしまうのがつらいとか、中盤の海のシーンはもう少し演出を頑張れたのではないかと、些細なことが気になってしまうのだけれど。それはさておき、風や雲がメタモルフォーゼする演出よりも、気に入ったのが風の音の表現だろうか。
風がビュービュー吹き、子供が草をブチブチひっこぬき、木の洞(と違うか?)で風がボーボー反響し、子供が風を全身で楽しむ様に素直に同化してしまう。地味ながらもダイナミックで動きのある感じが好きなのです。

まあ、暇になったら他の印象深い作品も挙げよう。