イジー・バルタ講演

ハジメマシテ、コンニチワ。ちぇこノばるたサンデス」

といきなり会場の笑いをとる。実は萌えキャラか、というかバルタカッコいいぞ。
今六本木で開催中の第十三回文化庁メディア芸術祭で色々とアニメーションネタを収集してきた。その際に、『屋根裏のポムネンカ』でアニメーション部門優秀賞を受賞したイジー・バルタの講演があった。このイベントを当日になって知ったのだが、もっと早く知っていればミーハー根性を出して、サインもらう準備をしていったのに。

しかし、時間が45分とかなり限られているうえに、『屋根裏のポムネンカ』と中篇『笛吹き男』を少し、それに現在製作中『ゴーレム』のパイロット版も上映したので、話しいていたのは少し。あまり突っ込んだ話もなくて物足りない。まあ、仕方のない話ですが。
最後に質疑応答でも「『ゴーレム』のように長いあいだ制作していると、途中で意図や心境が変化してきたりしませんか?」という質問にも、「これはチェコの伝説『ゴーレム』を、現代から寓話的な意味で捉えなおしています。そして、日本の皆様もご存知のように(なのか?)グスタフ・マイリンクの『ゴーレム』ともちょっと異なり、云々(忘れてもうた……」ということであったが、質問と答がちょっとズレていて残念。

そして、これはバルタに限らず、世界各国の共通だとは思うのだが、制作費用の捻出が困難であると語られた。特に『ゴーレム』のように技法が凝っていて、そのぶん金もかかるとのこと。とりあえず、芸術祭の優秀賞で30万は出るようだが、後は気長に待とう。
プラハの町並みが過去とオーバーラップするキリコを意識したような光と影の演出から始まる。そして後半の、粘土細工の町並みを破るようにして、内側から何かが現れ、雨で一瞬で崩落するところのぬめぬめした質感が誠に素晴らしい。これが無事完成したらチェコの長編アニメーション史ではシュヴァンクマイエルを遥かに凌駕する傑作だ! と絶賛する準備は出来ている(いや、一時的な興奮で適当に言うてるだけかもしらんけど)が、早く完成しないものか。