粘膜人間

粘膜人間 (角川ホラー文庫)

粘膜人間 (角川ホラー文庫)

なんとなく学校が始まってしまったので、合間を使って図書館で読了。学校でこんなん読むない……。
具体的な説明はないが、時は昭和、場所はどこぞの田舎村。身長195センチ、体重105キロで鬼畜の異父弟を殺そう。二人の兄弟は村の外れに住む河童に相談を求めるが、河童は綺麗な女と「グッチャネ」をしたいという。そのため、兄弟は徴兵逃れの兄が出たことで非国民扱いされている女を紹介することにしたが……うわっ、しょうもないな。
人体破壊、鬼畜系の物語が際限なく続き、グロのためのグロ全開。よけいなものははさまないので、とにかくめちゃスピーディーな展開で予測は不能。ただし、「グロのためのグロ」というわけで明快な物語があるわけでもないので、苦手な人には「よけいなものしかない」と感じるかもしれない。
ただし背徳感を度外視したこの妄想は意外とチープ。グロ描写で意外な点をつかれたということは無かったし、やや拍子抜けをしたところ。しかし、この作品を印象深くするのは異様なリビドーだろうか。人を殺したい、「グッチャネ」したい、とにかくこういった妄執をとことん突き詰めることでケッタイな作品になっている。童貞中学生的妄想小説といった感じが上手い具合に暴走したケッサクだ。
テンポのよい語り物っぽい雰囲気が良いのかもしれないが、個人的には文体があまりに淡白なのが不満ではある。「グッチャネ」という語感があまりに強烈だったのだが、こういったグチャっとした言葉遣いをもっと暴走させてほしい気もする。

「俺に抱かれたいだと? それは俺とグッチャネをしてもいいと言っているのかっ?」