色彩幻想

結局、ノーマン・マクラレンDVDBOXを購入してしもた……。まあ、一生もののお買い物と思えば高くはない……。

短篇アニメーションやらドキュメントがずらり400分、気軽にぱっと観るわけにもいかないので、徐々に消化していく。
で、殊に有名な「色彩幻想」(1949)の凄さに圧倒される。この作品は動画サイトで以前から観ていたが、画質の問題もあって今まで凄さを感じなかった。やっぱりDVDか劇場で観るのを推奨したいところだが、ちゃんとレンタルショップが置けよ!と。

軽快なジャズの音楽に合わせて、絵が展開していく、だけ。ダメな人にはダメかもしれないが、なんとなくな風景感覚で視界の片隅においておくだけでも、最高に面白い動画作品ではないかと思うが。
これはフィルムに直接ペイントしたりスクラッチするという技法で作られた作品だ。音楽にシンクロさせた映像のテンポや色彩の展開の仕方などの完成度の高さが途轍もない。物語はなくとも起承転結を思わせる構成があまりに素晴らしい。
こういう作品を観ると、映像の鑑賞における「観る(視る)」方法を変えうる作品だと思わせる。普通に映画館とかテレビで鑑賞する以外にも、コンビニのBGMとか病院の待合室の熱帯魚よろしく、環境音楽的に活躍しうる可能性と魅力があるだろう。むしろそういった場でこそ魅力を発揮しそうだし、アニメーションの受容のさせ方としても有効な方法になると思うのだが。まあ、著作権とか色々問題はあるけどさ。
おそらくアニメーションの実験的手法としては、カナダが世界最強ではないかと私見では感じているのだが、こういった方向でつきぬけた作品はあまり類例がない。 アニメーションは奥が深いのぅ。