隣人

カナダの名アニメーション監督ノーマン・マクラレンのDVD五枚組のBOXが出る! 三枚組のDVDBOXが品切れ状態でくやしいのうくやしいのうと思っていたので、誠に嬉しい。ただ二万円とは……完全にマニア向けだな。廉価の傑作選もあるが、買うならBOXだろ、悩む、悩んでる時点で終りだが。

さて、この監督は「アニメーションは動きである」という言葉を残している。それが名言かどうかはさておき、このような短篇アニメーションの魅力をずばりと表している。
で、代表作の「隣人」。テーマはストレートに隣人愛。というか、完全に戦争を皮肉ってるな。ラストに世界各国の言葉で隣人愛を説くのはテーマを伝えたいからか、単なるユーモア意識か……はっきり言ってうざい。作品が「テーマ」で語られてしまっては、「動き」が命のアニメーションとしては矮小化されてるように思うのだが。
という不満はさておき、ユニークな作品。花のダンス、花に感激する野郎の喜び、喧嘩と、非常にコミカルで楽しい動きをしている。実写を使ったコマ撮り(ピクセレーション)は珍しくもないが、これだけテンポよく画面中で動きを表現する技術は大したものだ。チープな効果音もいい味を出している。
気合の入ったアニメーションをファミコン的な安っぽさ(といっても、これが作られた1952年にはファミコンなどないわけだが)で彩った佳作。なんかだらだら書いていたら、BOXが欲しくなってきた……