七瀬ふたたび

七瀬ふたたび (新潮文庫)

七瀬ふたたび (新潮文庫)

『家族八景』の続編。前作と同じことをしないで、また違った試みをするあたりは好きです。
と言いつつも、この作品はあまり好きではない。精神感応能力(テレパス)をもつ七瀬さんが同じテレパスや未来予言者、念動力者と出会い、ときに協力し、ときに超能力を悪用する人間を葬り去り……って、なんか普通のサイコ・アクション小説。超能力のレパートリーもあまりにオーソドックスで、読み応えも普通。
むしろ読みどころは相手との闘争などと気持ちのよいものではさらさらなくて、追われるものの恐怖である。これは前作にも同様のことであったが、超能力仲間が増えることでそれがより全面に出ている。終盤では暗黒組織を抹殺せんとする謎の組織が出てくるから、文字通りの死闘となる。
この組織の正体は一応伏せておくが、マイノリティを圧殺しようとするマジョリティは最悪だよ……と。変に権力批判とかテーマ性を帯びて考えるのもあまり面白くはないのだろうな。
とりあえず、オチはやっぱり鬼畜なので、次の『エディプスの恋人』がどうなるのか気になるところ。

(七瀬サン、ワタシハアナタノ賛美者デス)
(七瀬サン、ワタシハアナタノ崇拝者デス)
(七瀬サン、ワタシハアナタノ召使デス)