ぼくたちは機械じゃない

横浜フランスアニメーション祭2009の、現代社会の諷刺や考察を描いた作品たち。
しかし、21世紀の作品のはずなのに、こうも人間は社会の歯車じゃない! 的な作品がズラリと並ぶのはどうしたことか……。今さら感というか陳腐というか、正直バカバカしくて観るのがつらい。アニメーションは動きが命だということで、その表現や演出の方法を楽しめばよいわけだが、そうはいっても……という。キャットフードか何かの製造工場で缶に蓋をのせるだけの仕事に従事する男が、仕事の息抜きに生命を宿したダッチワイフを買って……とか(ヤン・ジュエット『ベルニの人形』)、その陳腐さに呆れて言葉が出ないよ。

フランソワ・ザビエル・ルパントル『間違った折り目』

宙に吊り下げられた紙ぺらみたいな人たちのアニメーション。絶妙な薄さとそのふわついた動きが面白い。奇妙な近未来ものとしてのディテールが中途半端なのが残念だが、しかしフランスにモノレールなんてあったかいな? あまりに苦く、それ故あまりに真っ当なオチはご愛嬌。しかし、囚人の扱いはひどいな……。

ワン・パブロ・ザラメーラ『死への挑戦』

別に社会風刺でもなんでもない気はするが、完全に一発ギャグやな……と。宗教のイニシエーション体験みたいにも見えるが。げっぷで羽をとばすところで吹いた。

ロリアン・トゥレ『風車の村』
風車の動きと人の動きの活発さが連動している村の話。風がない日は、村人は皆やる気なしといった感じで。後半である男が恋人の女性を救うために風車を破壊しようとするのだが、なかなか素敵なハッピーエンドが待っている。色鉛筆による(だったかな?)淡い色彩のほのぼの系のアニメーションで、どこか加藤久仁夫(『つみきの家』とか)を思わせる佳品。

などなど。どこか安部公房的な不条理を思わせるドゥヴィ・ノワリー『裸男』などもよかった。