ファンタスティック・プラネット

ファンタスティック・プラネット [DVD]

ファンタスティック・プラネット [DVD]

フランス・アニメーションの巨匠ルネ・ラルーの代表作。カルト映画としてはなかなかに有名な作品らしい。制作は1973年。
ステファン・ウルの作品(未訳)を原作にしたSF作品。人間の十倍近い身長、魚のヒレ状の耳、青い皮膚に赤い目というドラーグ族と、それによって家畜(というか、玩具?)扱いされる人間たちの抗争を描いている。ドラーグ族から逃げ出したテールを先導に、徐々に知恵を身につけ、カウンターを仕掛ける……と、今の目から見ると少々古い印象は否めない。オチもだいたい予想がつきそうなもの。
しかし、非常に特徴的なのは、そのヴィジュアル。ロラン・トポールも関わっている(すぐ喧嘩別れしたそうだが)切り絵による手法がユニーク。人間の表情などに動きが少ない代わりにに、動作などは非常に滑らかで、巨大な異形生物の動きはまさしくファンタスティック。人間がゴミのように、掃除機風生物に吸われたり、怪光線でパタパタ倒れていったり、ごろごろ転がる粘着質の球にぺたぺた張り付いていく様子などは、それだけでユーモラス。
さり気なくサイケな音楽も印象深く、作品全体の雰囲気造りは素晴らしいの一言に尽きる。とはいえ、ヴィジュアルのトーンの暗さや、ドラーグ族を壊滅して終わりという爽快さもなく、作品としてのカタルシスには欠ける。早い話が、雰囲気だけ味わえといったところ。このイメージの豊かさのおかげで、物語が古くさくても、作品として古びたという印象は与えない。個人的には大好きな映画である。
以下、予告編。ちょっとオチのほうまで載せすぎな気はするが……。