珍獣遊園地

珍獣遊園地 (角川文庫)

珍獣遊園地 (角川文庫)

フロリダの地にリゾート、巨大テーマパーク、ゴルフ場の開発……んなもん、死んでまえッ! といった糾弾的なモチーフが、おバカな方向へと転がり続ける珍作。

世界に二匹しかいないアオシタ・マンゴー・ハタネズミ(!?)が遊園地から盗まれるという奇妙な事件に始まり、その遊園地は次々悲惨な目に会う。かるーいノリで人を撃ってしまう過激環境保護団体のスーパーばあちゃん、彼女に雇われた妙に義理堅い泥棒二人、あまりにケチくさい遊園地の経営者、政治のごたごたで森に逃げた元州知事……と、胡散臭い面々がドタバタとひと騒動を起こしてくれる。最後は当然の如く、ケチな悪者達はけちょんけちょんになって……と丸く収まりハッピーエンド。これでグーだ。

しかし、シャチに呑まれて人が死に、シャチも窒息死……という珍奇な心中など印象深いが、クライム・ノヴェルとしてはもっともっと過激なくらいにプロットをひねってほしいという物足りなさも。しかし、このシャチといい性欲がむき出しのイルカ(ラストに大活躍!)といい、人間よりもこういった珍獣の方が強烈な印象を残す。

蛇足ながら、英語じゃないとわからないような言葉遣いが全く訳に反映されておらず、その点での不満はあまりに大きい。

〈自然〉に対して言葉では言い表せないくらいの罪を犯したのよ。