アラビアの夜の種族

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)

アラビアの夜の種族 II (角川文庫)

アラビアの夜の種族 II (角川文庫)

アラビアの夜の種族 III (角川文庫)

アラビアの夜の種族 III (角川文庫)

文庫本三分冊で、1000ページを越す厚さ。だが、それも全く気にならない。
とにかく強大で膨大な物語。

古川日出男の翻訳という体裁をとった作中作の「千夜一夜物語」は、もの凄い濃密な世界観、かつそれに負けぬ奇想の数々が溢れかえっている。といっても、とにかく変な不思議なことが巻き起こるだけでなく、その変な世界の中でどこかヘンな人たちが馬鹿なことをやらかして、自分の文章に作者自身が訳注として突っ込むものだから、とにかく抱腹絶倒もの。とにかくページをくるたびに笑ってしまう。

そして、ラストでは作中作が現実(作中)や現実(我々のいる)まで、物語の強大な可能性が越境してくる。とにかく何度でも読み返したくなる作品。

まさに神。最強の一冊。ごちゃごちゃ難しく考えずとも、とにかく面白い小説なので、「想像力の圧縮された爆弾」に興味のある人は必読。

奔放な空想はご所望ですか?