狂人日記

狂人日記 (講談社文芸文庫)

狂人日記 (講談社文芸文庫)

徹夜気味のへろへろ頭で読んでいた。作品内容もへろへろ、というかゆらゆらぐらぐら? なんか異様な印象を残す作品。
ナルコレプシーで精神病院に入院する「自分」は、常に幻覚・幻聴に苛まれる。親しげに他人と心を通わすこともなく、正気と狂気の間を揺れ続けるほうが身近になっている。
別れた元妻や弟が夢とも現とも言わずに現れ、またはヤク症状といった幻覚も現れ、何がなんだか……。夢の論理に押しつぶされた「自分」は他人との関係を恐れるようであり、会話らしいものもない。あるのは繰り返される診療のみ。延々と続く幻覚も、もはやクールに淡々と語られる有様。
他人との関わりを恐れつつも、他人を求めずにいられない……なんともわかりやすい心境ではあるが、病院での圭子との出会いから物語の歪みは増す。圭子の優しさに接し、自分が変わるにつれ、この「現実」が壮絶なまでに痛々しくなる、一方で幻覚は完全には消えず淡々と繰り返されるのみ。自分の心の中の乖離が進み、物語は歪み捻じれ……。
挙句の果てには、「帰途、ラッシュアワーに遭遇。こういうことは遠い昔の記憶にしかないので、車内で他人の身体と無遠慮に揉み合うのが、新鮮」。こういった微細な感覚に出くわすたびに、なんとも不思議な気分にさせられてしまう。

朝、小発作、ローリング。
遠くで太鼓の音がしはじめたように思えてびくびくしていたが、昼に至るまで何事もなし。但し、眼をつぶると映像が走っているらしく、白黒の濃淡が動いている。いつもの倍、薬の服用も効果なし。