リボルバー

短篇アニメーションをまとめたDVDというのは個人的には嬉しいものだが、同一作家の作品集だと連続鑑賞していてだれることがある。アンソロジーというのは非常に嬉しいものだが、マーケット的にも厳しいし、選者や企画者がいるのかとの問題もあって……まあいいや。とにかく最近一番ぐっと来た作品。

アンビエント・ミュージックに流れるようにして、悪夢的な光景がひたすら反復・回転(リボルバー)される。目を開けて見る悪夢という表現も半ばクリシエと化した感はあるが、そういった作品。一発ギャグ(というか一発悪夢)映像を連続して繋げただけという感じではあるのだが、次第に背筋が凍ってくる。非常に不思議で不気味な作品だが、こういった音楽の力が強い作品は大好きだ。
一つ一つの映像がナンセンスでグロテスクなものとして完結具合も見事。個人的ツボとしてはカメラの視界を逃れるガキンチョとか、顔が異形へと変貌する父ちゃんのアニメーションなんかゲラゲラ笑いながら観た。次々と海に投げ捨てられる赤ん坊とか、脈打つ心臓なんかもナイス。
この作品のテーマとして明確なのは、やはり「時間」だろう。砂時計(水時計?)や、蟹時計(時計蟹)など要所要所で時計や時を象徴するものが出てくる。また、「じたばたする魚→麺棒で引き伸ばされる魚→手をすり抜ける魚」や、「結婚式→口を奪い合って喧嘩する夫婦」といったように、個々の絵が微妙に繋がっているような曖昧さを残している。ここに長い時間が、一瞬の映像に詰め込まれているような恐ろしさがある、落ちるのが異常に早い砂時計など、まさにそれだろう。
回転・流動し続ける時間への恐怖とそれへの抵抗を描いている。異形の時間アニメーション。ぞくぞくするばかりに、連続して三回鑑賞してしまった。今はもっともっと観ている。この作品はジョナス・オデルら複数の作家による、スウェーデンの作品。山村浩二の「年をとった鰐」に複数の作品を加えたDVDで鑑賞できる。