プリート・パルン

ラピュタ阿佐ヶ谷で開催中。2009年度はエストニア特集とのこと。このアニメーション祭りは今回が初めてだが、来年からも参加していきたい。

とりあえず、一通りのプラグラムは観たものの未消化具合がもの凄い。映像の質が良くないのでよろしくない行為だけど、動画サイトで検索しながら再度観てみたい。以下はそんな印象評。

プリート・パルン(Priit Parn)エストニア・アニメーションの巨匠とのこと。作品は全体的に冗長だし(作品に説得力をもたせるためというのはわかるのだが……)、絵もヘタなのかヘタウマなのかよくわからないし、動きも突飛、音楽も非常にざらついており……と、今まで観てきた他の国のアニメとは全く異なる。アイロニー、シニカル、シュール、グロテスク、不条理、バカが極端に突き詰められたような傑作(ケッサクぞろい?)。
「食」をめぐる奇妙な三角関係を描いた「トライアングル」や、グラフィックが次々にユニークな展開をみせる「おとぎ話」は普通に面白いが、圧巻なのは「ホテルE」。資本主義と共産主義の間でゆれる人を鋭く描いた作品らしいが、カラフルと白黒のざらついた表現との使い分けが恐ろしい。30分は長すぎだろと言いたくなるが、とにかく凄い……としか言いようがないのが困りもの。

また、「1895」「ナイト・オブ・ザ・キャロット」といった作品も観たが、字幕もないしよくわからない。微妙としか言いようがない。

長編「ガブリエラ・フェッリのいない生活」はヘンタイ夫婦、気がフレタ子供、顔のない泥棒、バーチャル娼婦、ものを引き寄せる超能力をもつダンサー、バーチャル娼婦……といった奇妙な人々の群像劇。目で観る悪夢の連鎖といった具合に、長編なのに物語性があるのだかないのだが不思議なものだが、最後に収束するあたりはドラマティック。色調を抑えた暗く重たいトーンの画風なのだが、不思議と香気漂ってくるようで不思議な魅力に満ちている。
面白いのか? と問われると即答はしにくいのだが、インパクトはあまりに大きい。どこか物好きな配給会社よ、DVD化を頼む。

「おとぎ話」普通にオススメ。素敵な現実逃避譚。

「ホテルE」とにかく凄すぎ。前半少しみてもよくわからないが、全部見るとますますカオスってくる(脳内も映像も)。