ソフトウェア

ソフトウェア (ハヤカワ文庫SF)

ソフトウェア (ハヤカワ文庫SF)

タイトルがこうであれば、ソフトウェア(魂)とハードウェア(肉体)を巡る哲学的な物語にもなりえよう。実際、「実存」なんて言葉まで使われちゃったりもする。
同様に、アシモフの三原則をはなれて、ロボット達の自意識的な面をも描いているので、ロボットの人間に対する反乱という側面も出てくる。つまりは、奴隷解放SFか?

と、結構シリアスな題材を扱ってるはずのに、なんでこんなしょ〜もない(誉め言葉)物語になってしまうのだろう……。
文章はトンでるし(訳者の黒丸尚氏に拍手!)、ストーリー展開に脈絡があるんだかご都合主義なんだか……悪く言ってしまえば、読みにくい。けど、かなり強烈なドラッグ小説だ。

かなり重たく深い題材を、徹底的なまでの真面目さで「不真面目」に描いてしまったパルプSF。正直このユーモア感覚にはついていけないというのも本音だが、このついていけなさも苦笑交じりに楽しんでしまった。

きみにはハードウェア。ぼくにはソフトウェア
と陽気に歌い、
「結合してみるの、興味あるかい、ベイビー。そんなハッピイ外套をもってんだ。たんまりあるんだろ……。きみの時間だけの価値は約束するぜ。ぼくもダテにズィプザップと呼ばれてない」